さて、いよいよ俺の人生を左右する入場です。その模様はこちらをご覧いただきたいのですが、
ドアの前は赤絨毯、文字通りのVIP待遇にワクワクよりもドッキドキ。途中、チケをチェックするスタッフがいるのですが、その謎と呼ばれるEチケを見せてもすんなりスルーだったので、これで確立は五分五分!
そして第二の関門、チケットゲート。これを乗り越えさえすれば、俺は、ついに、晴れて、アーセナルの優勝を、アーセナル側で拝む事が出来るのです!
あざーーーす!
そして、列に並んで待つこと数分。しかしこの数分が数十分にも、数時間にも感じられ、永遠に自分の番が来ないのではないか?とさえ思え・・・。しかも、前の人のスキャンが上手くいかず、中々前に進まない。。。
だよな?この国だものな?あるよな?
そしてその人が6度目くらいでようやく開いたゲートを前に、「信じる物は己とアーセナルのみ!」というアーセナル教信者であり、世間一般的には無宗教者の俺も、わらつかの精神で神に祈りを捧げながら、
その、プリントアウトのEチケをスキャンにかざしたその瞬間!
あれ?
開きませんよ?
いや、でも前の人もあれやったぞ?何回もピってやってたぞ?な?な?
ってことで、何度かかざしてみますが、あれ?全く開く気配がなく。。。
っていうか、スキャンエラーの度に音が鳴るんですけど、明らかにさっきの人のとは音の質が違うような気も。。。
あれ?もしかしてダメですか?
やっぱダメデスか?
いやいやいや、まだわからんぞ!
ということで、
端にスタッフがいたので、最後のチャレンジ!アホの振りして確認してもらおう!と寄って行くと、既に数人組の先客が。
その先客とのやり取りを見つめていると、大変重要な事に気づきました。
その人達、俺と同じデザインのチケットですやんー。
プリントアウトのチケ持ってますやんー。
やっぱ、こういうデザインのチケありますやんー。
若干希望見えてきましたやんんんー!!!
というわけで、その数人組のとスタッフのやり取りが終わったところで、俺と同じチケを持った集団を呼び止め、ボスっぽい人に訪ねてみました。
すると、驚愕の事実が判明!
そのやり取りを、一言一句リアルに再現!
猿「あのー、なんかあったんすか?」
ボス「いや、スキャン出来ないっていうんだよ、このチケ」
猿「え?マジすか?多分俺も同じようなチケ持ってるんすけど・・・」
ボス「どれどれ?みして?」
(ふむふむ、と見比べるボスと、それを見守る子分達)
ボス「あれ?ちょ、おま、、、」
猿「ん?なんすか!?」
ボス「名前一緒じゃね?これ?」
猿「え?・・・」
猿「あ・・・!」 (・∀・)!
ボス「一緒だよな?しかもこれなんか、席番号まで全部一緒だぞ、これ」
猿 (・∀・)!・・・
Simon Frentonって誰だよー!マジで!
ボス「これどこで買った?」
猿「ネットの掲示板みたいなとこっすね。どこすか?」
ボス「俺もネットだな。」
猿「それ手渡しでした?」
ボス「うん、手渡しだったな。薄黒いみたいなやつだろ?」
猿「そうそう!」(・∀・)!
ボス「それ同じヤツだな・・・ちょ、お前ソイツに電話してみろよ?」
と、子分に電話させるボス。
猿「あ、Simon Frentonに?」(・∀・)!
子分「あー・・・つながんないっすね・・・」
ボス「やっぱりか・・・」
猿 (・∀・)!
ボス「ちょっと、さっきのスタッフにも一回掛け合ってくるわ」
猿 (・∀・)!!!
とても頼もしいボスを見守る子分ABC。
でも当然の権利!定価の二倍だか三倍だかの値段払ってるわけですからね!
そしてそのボスの行動力、決断力、攻撃力、全て、うちのボス、ウェンゲル以上!
そんな俺達のボスが、さっきのスタッフに果敢に交渉開始!
ボス「ちょっとこれでなんとか入れてくれよ?こいつ(猿)も同じチケット持ってるからさ」
猿 「ボスあざーす!(心の声)」(・∀・)!
使えないスタッフ「いやあ、スキャン出来ないですからねえ・・・」
ボス「いやマジ、高かったんだぜ?これ」
と、出禁逮捕などどこ吹く風、何も恐れる事も無く、違法に手に入れたチケの値段を堂々と提示するボス。もはや無敵。
使えないスタッフ「あのー、これ、どこで買われました?・・・」
ボス「これ?ネットだよネット!ネットで買ったんだよ!!!」(逆切れ気味に)
猿 (・∀・)!!!!!
使えないスタッフ「ネット・・・はぁ・・・」
ボス「なんとかなんない?ここ開けてくれたら入れるだろ?なあ?」
使えないスタッフ「うーん・・・」
というところに、今度は違う客人が鴨にネギしょって登場。
使えないスタッフ「はいはい、どうしましたー?」
鴨ネギ君「あのー?このチゲットー、スギャンできねえんですけども?」
と言いながらそのチケを見せる鴨ネギ君。
使えないスタッフ「ああー、これと同じチケですねえ。この人達と同じチケ。」
そうなのです。その鴨ネギ君も同様に、我々と全く同じデザインの、Simon Frentonさんのプリントアウトを手にしていたのでした。。。
そして一同 (・∀・)!!!!!!!!
使えないスタッフ「あのーここじゃあわかんないんで、ちょっと上のチケットボックスに言って聞いてみてもらえますー?」
つうわけで、UKで一番汚れを知らない、とても心の清い男達6人のアーセナルサポは、最後の砦、チケットボックスに大移動!
まさに無双、俺達のボスが「これスキャン出来ねえんだけど、ちょっと見てくんない?」と窓口に。
そのプリントアウトを見ながら一瞬怪訝な顔をして、仕方なく何かを探す振りをする窓口の人・・・。
そしてその数十秒後、窓口の人から衝撃の一言が!
これ、ニセモンですね。(さわやかに)
ボス「・・・」
子分ABC「・・・」
鴨ネギ君「なすたど・・・」
猿 (・∀・)!!!!!!!!!!!!
確かにその窓口の人は言いました。これは「フェイク」であると。しかもそこそこ強い口調で。
そして、チケットの見返りに渡されたものは、この紙切れ一枚。
「ニセモンなんか掴まされてんじゃねーよ!ハゲ!」
みたいな注意書き。
その瞬間、俺の心の中は真っ青に晴れ渡り、とても清々しい気分になったのを、昨日の事のように憶えています。まだ一昨日の話だけど。
そう、この雲一つくらいしかない、ロンドンの空のように!
よし!ハイバリー帰んなきゃ!
俺は共に戦った彼ら一人一人と握手を交わし、なんならハグとかまでして傷を舐めあい、否!お互いの健闘を称え合い、そして親指を立てながら、同志達の元から旅立ったのでした。
今度は駅へと続く、あの長い長いレッドカーペットを、一人泳ぐように逆走しながら笑顔の波に揉まれていると、俺も不思議と笑みがこぼれてきて、「これで良かったのだ」と、本気でそう思えたのです。
俺は戦いには敗れてしまったけれども、アーセナルは絶対に敗けない。
心の底から、本気でそう思ったのです。
あばよウェンブリー!
そして、あばよ、Simon Frenton!
センターへと向かうガラガラの電車内でポケットをまさぐっていると、何やら紙切れが。。。あ、行きしなにもらった紙切れでした。
「今日は何かが起こるぞ!準備はいいね?」っていうやつ。
確かに何かが起こったけれども!
しかし一体、これはなんだったんだ?と思い開いてみると、こう書いてありました。
「神は、ほんと、ほんのもう少しで、我々の元に現れますから」
とのことなんですが、、、
神様ー、ちょ、遅いわー。
もうちょい早めに現れて欲しかったわー、マジでー。
しかし、先程も申し上げましたが、猿が唯一入信、信仰しているのはアーセナル教だけ。
やはり俺が信じられるのは、アーセナルだけなのだ!
そう言い聞かせながら、ちょっとだけ汗ばんだ胸のバッチに、人目をはばからることなくそっと手を置くと、先ほどまで高鳴っていた俺の胸の鼓動は鳴りを潜め、不思議と、「俺は生きている」を、そこはかとなく実感したのでした。
よし、KOまであと1時間。
後編につづく
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コメント
まっすぐ向きあう現実に誇りを持つために戦う事も必要なのさ…ポイズン。
ホンモノであってほしいと心から願っていましたが・・・
それでもポジティブな猿さんを陰ながら応援しています!!!
同じような目に合う人が減るように、罠に引っかかってくださるなんて
優しすぎる!!!!
これからも引っかかってください!!!
僕も短い期間ロンドン(Paddington付近)に住んでいました。
その間に現地の友人とArsenal×ManUを観ようと奮闘して挫折した記憶が蘇りました!
猿さんの凄い所は、僕には出来なかった前向きな行動力ですよね!
是非今度はスタンドで観てくださいー!!
猿さん すごい。レポートのために写真ちゃんと撮ってるとこ。後半もはやく見たいデス
面白すぎます(笑)
私も10年前、汚れを知らない学生時代に対フルハム戦のニセモノをダフ屋に掴まされた記憶が蘇りました。
毎日1パウンドチップスで糊口を凌ぎ、手に入れたチケットだったのに…すげーなつかしいっす!!
本気であればあるほど面白いです!
※注釈「本気」と書いて「マジ」と読む。
最高のレポあざーす。
最高に笑いました。と同時に売りつけた奴に怒りが…。
親分のくだりなんかはその場にいるかの様な臨場感。
ウェンブリーには入れませんでしたが歓喜の瞬間を
他の仲間と分かち合えて良かったですね。
あー…。まあ、なんつーか、あのブザーの音が悲しかったです。
上田のダメー、今日までー的な。
早く後編が読みたいです。こんなにドキドキしながら楽しんだのは、ドラマの24以来っす!
毎年決勝レポ面白いすねえ。後編楽しみにしてます。
レポートありがとうございます〜
清々しいと言える情熱に涙しました。