アーセナルのドキュメンタリー映画『89 The Film』とは何か？

Gooner

2018.01.06 2017.11.10

今週水曜、ついに『89 The Film』のプレミア上映会が、エミレーツ近くのHollowayの映画館で開催されました。

当然のことながら気付いた時には既にSOLD OUTで、残念ながら参加出来なかったのですが、上映会の模様は「89 The Film」のツイッター上でも色々アップされていますのでそちらをご確認いただきつつ、後ほど別記事でレポるとしてとして、今回はフィルム内容をご紹介したいと思います。

『89 The Film』とは何か？

まずこの映画、日本ではあまり耳なじみないかもしれませんが、ざっくり説明しますと…

1989 5.26 イングリッシュフットボールリーグ・ファーストディヴィジョン88-89最終節。首位リバポー勝ち点76、2位アーセナル勝ち点73で迎えた直接対決は、要塞アンフィールドの超絶アウェイ。優勝に必要な点差は2点差以上という、好調リバポーが相手ではわりと無理ゲーな状況。

そんな中、52分アラン・スミスが頭で先制、残り一点と迫り猛追。しかしシュートミス、そしてリバポーの巧みな守備に追加点を奪えぬままついにロスタイム突入。当然のように時間稼ぎをするリバポー。そして迫り来る終了のホイッスル。誰しもが諦めかけていたその瞬間…

を描いた、アーセナル史上最高といっても過言ではない、輝かしい瞬間を切り取ったドキュメンタリー・フィルムです。

そうこれは、皆さんご存知ニック・ホーンビィパイセンの自伝的小説を映画化した『FEVER PITCH』（邦題: ぼくのプレミア・ライフ）のエンディングでおなじみの、あの死闘であります。

もうプロモを観てもらった方が早いね。

Goosebumps.

You don’t want to miss @89TheFilm 🔴 pic.twitter.com/7pgsSHr3R7

— Arsenal FC (@Arsenal) 2017年10月18日

プレミア前夜、古き良き時代のイングランド。

そしてこれらのワードが、このカタルシスを物語っています。

「IT’S NOT JUST ABOUT THE GAME」
（これはただの試合なんかじゃない）

「IT’S ABOUT BELIEVING」
（信じるという物語だ）

「NEVER GIVING UP」
（でもやるんだよ）

「NOTHING IS IMPOSSIBLE」
（俺達に不可能はない）

これだけで、鳥肌でした。

そして、これを実際その場で魅てしまっていたら、現在の”あっけなく大逆転されてしまうチーム”に中指も納得だし、このピッチに立っていた賢人達の現在の選手に向けた辛辣な愛情表現にも、ただただうなづくしかないというか・・・。

もちろん現在のプレミアは圧倒的戦力の差はあるでしょう。しかし「でもやるんだよ」という気持ちの見えない現在の選手達へのレジェンド達の苛立ちが、当時を知らなかった俺の胸に突き刺さるのです。

魔法だ。この試合は一生抜け出せない、絶対服中の魔法だよ・・・。

それでは最後に、グーナーと選手達を盲目にしてしまった、罪な試合をご覧ください。

アディダスのタンゴ調のボールだなぁ。

この時期は、足でバックパスオッケーだったのかー・・・。

あぁ、監督はダルグリッシュだったのなぁ・・・気の毒に。

決勝点決めたマイケル・トーマスは、あの位置から一度外してたのかぁ・・・。

なんて雑感はどうでもよくて、

現在のプレミアは世界中からスーパースターが集まり、スタジアムも軒並み豪華になって「世界一のリーグ」と言われるまでになったけれど、この時代のリーグには、サポも選手もスタジアムもブリティッシュ感満載の、全く洗練されてないけれどもなんか放っておけない、牧歌的でただただ愛に溢れている、えも言われぬ愛おしさがあったのです。

それを気付かせてくれたフィルムに出会えた事を、一グーナーとして誇りに思います。

それでは最後に、エミレーツのタイルに刻まれた、永遠の呪文から抜け出せないグーナーの言葉でお別れです。