クロエンケのアーセナル買収問題について、何が起こっているのか、何が起こりそうなのか、クロエンケとは何者か、ざっくりと書いてみました。
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開幕直前、移籍マーケクローズのどさくさに紛れて、衝撃的なニュースが飛び込んで参りました。
BREAKING: Majority owner Stan Kroenke makes offer to buy @Arsenal in deal valuing club at £1.8bn. #SSN pic.twitter.com/IPn5Ibup0n
— Sky Sports News (@SkySportsNews) 2018年8月7日
67%の株を持つ筆頭クロエンケ、第2株主ウスマノフから残り約30%の買い占めに大成功。
有無を言わさず独裁者になれる権ゲトー
事実ウスマノフは売却を決意したようで、実質クロエンケが独裁者スイッチを持つような状態。
さて、このニュースが意味するものとは…
色々ディグってみたところ、想像通りのトンデモ事案であることが判明したので、わかりやすーくご報告させていただきます。
独裁者クロエンケ誕生
まず今回の騒動、火種は以前からくすぶっておりまして、わりとここ1、2年、クロエンケ(ってキーボード打ったら、黒炎家って出た!)は株の買い取りをウスマノフに打診していました。ようは、クラブを独り占めしたかったわけですね。
しかし、自称”アーセナル大好きっ子”のウスマノフ、「クラブ愛のない薄汚いビジネス野郎に魂売るわけねーだろ。そんなんだったら他のやつに売るわ!」と形式上頑なに拒み続けていたのですが、デブ心と秋の空、ボスがいなくなって糸が切れちゃったのかなぁ、ボスを追い出して俺の役目は果たした!って思っちゃったのかどうか知りませんが、ここにきて華麗に心変わり、
「俺の分売ってやっから。まぁせいぜい世界一目指して頑張ってくれや」
という捨て台詞とともにボードの舞台から降りることを明言。
そして晴れてこの度、KSE(クロエンケ・スポーツ&エンターテイメント、ドリーム・ステージ・エンターテイメント的なやつ)がウスマノフから全ての株の買い占めに成功し邪魔者ウスマノフ排除に成功、97%というほぼほぼ100%の株を買い集め、事実上クラブの独裁者となったわけです。そうです、実質上のクロエンケFC、KFCです。
ここまでくると、法律上全ての株を合法的に掻き集められるようで、残りの3%も必然的にクロエンケのものに。そして、その3%というのが、アーセナルサポーターによる持ち株組織AST(アーセナル・サポーターズ・トラスト)の株主なのですが、そうなるとASTも事実上解散の方向へ…。
ASTとは、簡単にいうとクラブの一口株主。しかしメンバーは利益のために株主になっていたわけではなく、クラブを愛するが故に株を持ち、株主総会での発言権を得ることで、クラブ経営の健全さを監視するチェック機能のような役割を担っていました。事実、クラブのおかしな点についてASTとして意見書を提出するなど、文字通りのサポーター代表として、クラブを影で支えていた団体だったのです。他のクラブは知りませんが、サポーターが経営に関われるようなクラブはあまり聞いたことはないし(あっても知らん)、「アーセナルはビッククラブ」と言われるけれど、それくらいアットホームで、誇り高き”オラが街のクラブ”だったわけです。
しかしここにきて、権力者による突然の私物化。
クロエンケとAST
これに対し、当然ASTも声明を発表しました。
Arsenal Supporters' Trust statement on Kroenke's takeover #afc pic.twitter.com/iHYDINWhKk
— Urban Arsenal (@ArsenalUrban) 2018年8月7日
なんて日だ!
クロエンケがクラブを私物化するということは、我々サポーターによるクラブ監視の役目が終わったことを意味する。
彼が独裁者となることで懸念されることは以下の通り。
・誰のチェックも受けずに、報酬や配当を決めることが出来る
・当然株主総会も開かれなくなる(総会屋マイセルフ)
・人事権も自由自在
・他のお遊びの借金をアーセナルに被せることが可能となる上記同様、AST一番の懸念はローン(自己資金ではなく、銀行からの借り入れ)による買収ということ。
また、最も恐ろしいことは、クロエンケがサポーターから株式を買い上げようとしているところだ。ほとんどのASTメンバーは、金儲けの手段として価値を見いだしているのではなく、アーセナルの未来のために保有しているのだ。クロエンケの行動は我々への侮蔑であり、合法的な乗っ取りである。
ASTメンバーも怒りを通り越して…
I’ve been a shareholder of AFC for over 50 yrs.
I’ve attended over 50 AGM’s and challenged
D.Hill Wood, P.Hill Wood, Friar & managers
Why ? Because my love for AFC is greater than any of them ,and I am desperate for the club to be the very best that they can be.
It’s a sad day. pic.twitter.com/rIfo8rDoT9— Martin Wengrow (@MartinWengrow) 2018年8月7日
ワシは50年以上アーセナルの株主として、50回以上総会に出席し、ヒルウッド親子や時に監督にモノ申してきた。何故か?
それは、ワシにとって、アーセナルという存在が何物にも代えられない、かけがえのないものだからだ。
だからこそ、少しでも良いクラブであって欲しいというその思いから、ずっと必死でやってきた。
今日は哀しい日だ。
そして貴重な日本人ASTメンバーである、ボス20周年記念写真集日本語版の翻訳者、ヨーコさんもこんなコメントを…
ASTが運営していたファンシェアでは、会員が小口で毎月積み立てて株を買い進めていた。アーセナルでは株に配当を出さず、すべてクラブに再投資。つまり会員は利益目当てではなく、クラブの私有化を防ぐことが目的だった。それと、ちょっぴりだけクラブを所有しているという夢があった 1/3
— YÖKÖ G (@yokomiaow) 2018年8月8日
自分のチームを信じないクロエンケとは何か?
そんな独裁者に成り下がったクロエンケとは何者なのか、ちょっとおさらいしてみましょう。
スタン・クロエンケ(NFL方面ではスタン・クローンキー。やけにメリケンぽい発音です)
総資産額約7400億円ともいわれる、アメリカ人のお金持ちです。
(とはいえ、シッティの油屋の総資産3兆円に比べれば大した事ありませんが、まぁそこそこお金持ちの部類なのでしょう)
さらに嫁がまた、世界最大の小売業者ウォルマートのウォルトン家一族ということで、まるでシドニィ・シェルダン『ゲームの達人』の、お金は湯水系の人達です。
そんな大富豪クロエンケさん、オーナーを務めているのはアーセナルだけではありません。
実はこーんなにたくさんのクラブに手を出してます。
NFL(アメフット) ロサンゼルス・ラムズ
NBA(バスケ) デンバー・ナゲッツ
NHL(ホッケー) コロラド・アバランチ
ちなみに、デンバー・ナゲッツのWikiの名前が「E・スタンリー・クロンク」ってなってるんだけど…もう、スタンリーなのか、スタンなのか、ハンセンなのか、統一してください!(クロンキーですらないやん…)
そんなナゲッツのwikiに、大変興味深い逸話が書いてあったので紹介します。
08-09のプレーオフでナゲッツが24年ぶりにカンファレンスファイナルに進出したんだそうです。
でも、プレーオフに進出するとは思ってないから、事前にホームのペプシ・センターをWWE(世界一由緒正しきプロレス団体)に貸す事が決まっていたらしく、急遽使えなくなったWWE会長のビンス・マクマホンが激怒、
「クランケはオーナーのくせに自分のチームの進出を信じれねえクソ野郎!」
と猛烈批判を展開。さらにそれをストーリーラインに乗っけて、試合当日なんとナゲッツの対戦相手であったロサンゼルス・レイカーズの本拠地で公演を行ないナゲッツを猛烈ディスしたんだそう。WWE最高!
は、さておき、
「自分のチームを信じていない」
これって、クロエンケを表す意味で、文字通り言い得て妙の言葉なんですよね。
アーセナル以外のチームも、真ん中を行ったり来たりのゆるゆるクラブ。
それでも、当のオーナーは大満足のご様子で、そこに勝ちを求めたり、強さを求めるなどの野心は一切なく、ビジネス的に美味しく利用出来ればそれでいいやってくらいの、ほんとただのビジネスメン。試合もたまーに申し訳程度に顔出すくらいで、基本見に行くわけないやんっていうそういうスタンス。スタンだけに。
もっと言えば、
「そこに愛はあるのかい?」
と訊ねられたら、
「ない!」
と、表向きは言わないけど、ハートで即答出来るおっさん。
それが、スタン・クロエンケという男。
ちなみに、このおっさん、「NFLラムズっていう、とうほぐの人が「ラムジー」呼ぶ時ぽい名前のチームの本拠地を、セントルイスからロスに移動させた!」っていうんで、どんなクソ野郎だよ!!!と思って調べてみたら、このラムズめっちゃ本拠地移動してんすね…。
そもそもラムズ発祥がオハイオ州で、そのあとカリフォルニア州ロス行って、今度はミズーリ州セントルイス行って、またカリフォルニア州ロス行って…って、戻っただけだった!
しかも他のとこも何チームか、州またぎでフランチャイズ変えてるとこあるんだけど、あれなんなん?特に酷いのがこのラムズなんだけども…
そういう意味では、チームの本拠地移動が楽そうな、流浪なクラブを狙った可能性があるのかもしれません。ビジネスマンとして。金になりそうな場所に移動させるために。
そう考えると、金の臭いがするクラブへの執着は凄いのかもしれない。
以上のような観点から、自称でも”アーセナルサポ”と名乗るウスマノフへの期待が大きかったのは、これでおわかりいただけたでしょうか。
でも、ウスもボスも、もういない…
ガジディスさえもいなくなるかもっていうそういう状況…
あ、でもひとりいた!
救世主いた!
なんかね、クロエンケの息子がめっちゃアーセナルファンなんだってよ!
実質息子の好きなよーにやらしてもらえるかもなんだってよ!
もしかしてこの100%株買い占め、息子へのバースデイプレゼントなのかもしれないね!
ということは…
ついにアーセナルにもサカつく時代到来の予感!
どうするどうなるアーセナル!
超新体制アーセナル、まもなくスターツデス。
P.S.
まぁ個人的には、当たらず触らず、ただ淡々と4位狙ってやるんだろうなぁって気はすんだけど。
とにかく、息子マジ頼んだ。
とりまこれで勉強しよう。
コメント
アーセナルおかしいね。。。1年前から色々ショックなことが起きすぎてついていけんわ。
はじめて、コメントします。
猿さん推薦のエジル自伝本で、エジルはクロエンケの息子と仲良くなったと書かれてたので、そこに期待です